金融市場ラインマーカー

ギリシャの格下げについて

2010年04月28日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

  • ギリシャ、ポルトガルの格下げを受け、EU(欧州連合)のギリシャ支援への動きが加速する可能性も視野に入る。
  • 支援策の早期発動がなされれば、市場は一旦落ち着きを取り戻すものと思料する。

S&P社がギリシャ国債の格付けをBBB+から3段階引下げBB+の投資不適格級とし、今後の格付け見通しを「ネガティブ(今後の格下げの可能性を示唆)」で据え置きました。格付け引下げの理由として、(1)成長見通しへの懸念(2)財政引き締め遂行能力への疑問等を挙げています。また、ポルトガルの格付けを従来のA+からA-に引下げ、格付け見通しを「ネガティブ」としました。

この発表を受けて、独10年国債とギリシャ10年国債およびポルトガル10年国債との金利差は拡大し、同国の国債償還原資の調達コストは大幅に上昇し、危機的状況となっています(グラフ1参照)。

ユーロ圏の金融機関が欧州中央銀行(ECB)から、資金借り入れを行う場合、各国の銀行はECBの定める適格担保最低基準(Baa3/BBB-相当)を満たす国債等をECBに担保として差し入れる必要があります。現状ではムーディーズ社の格付け(A3)があるため、ギリシャ国債は適格担保基準を満たしていますが、この先、万一、適格担保にならなければ、ギリシャ国債はある意味、金融機関にとって保有価値の低い債券となり、ギリシャが国債を発行しても応札なしの状態(資金調達できない)となり、ギリシャ国債は、最悪デフォルト懸念も出てきてしまいます(グラフ2参照)。そうなった場合、ユーロ圏全体の信認が大きく低下することは明白です。

現在の危機的な状況を回避し、市場の混乱を収束に向かわせるために、今後EU(欧州連合)はなりふり構わず、あらゆる手立てを講じるものと考えられます。現段階では、ギリシャへの支援は、ユーロ圏各国世論の風当たりの強さから、各国での議会承認に時間がかかるとの見方が優勢ですが、格下げを受けた危機的状況を受けて、ギリシャ支援の早期実施への動きが加速する可能性も視野に入ります。その場合、市場は一旦、落ち着きを取り戻すものと見られます。

なお、為替市場ではユーロ安になっていますが、このユーロ安は時間差を置いて、ユーロ圏の景気にプラスに働く傾向があり、ギリシャ問題の水面下で景気が緩やかに回復する兆候が出ています(金融市場ラインマーカー2010年4月27日号参照)。

グラフ1

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ2

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

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