金融市場ラインマーカー

米国・中国の為替政策 中国元とアジア通貨の関係

2010年04月16日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

2011年6月以降のレポートはこちらから

金融市場動向

  • 米国発の元切り上げ圧力はくすぶりを続け、将来的な元高の思惑を高めよう。
  • 元高が進んだ過去の局面では、円は元高に連れず、低調なパフォーマンスの一方で、アジア通貨は全般的に堅調推移となった。

グラフ1

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

2005年7月に実施された中国元の切り上げ・管理変動相場制移行を機にその後、20%近く元高が進行してきました。しかし2008年のリーマンショック以降、元高の進行がピタリと止まっています。この傍らで、米国の貿易収支赤字が高水準に留まり、かつ米国の失業率が1980年初頭以来の2ケタに上昇しています(グラフ1参照) 。この環境の中、米中間では、元切り上げを巡る政治的攻防が繰り広げられています。米国は、80年代初頭の失業率上昇、貿易赤字拡大の局面で、当時、米国にとって最大の黒字国であった日本に対し「日本の貿易黒字の拡大(円安を受けた日本の輸出産業の国際競争力の優位性)が米国企業の収益を圧迫し、雇用を奪っているため、対日貿易収支赤字の解消に円高が有効」との論旨で、政治的な対日円高圧力をかけていました。現在は当時と同じような経済環境の中、中国が当時の日本に替わり、米国から元高圧力(人民元切り上げ圧力)を受けています。オバマ政権にしてみれば、元高圧力は雇用環境が悪化する中での、米国民に向けての政治的なアピールといえます。逆に言えば、米国民の雇用に対する不満が収束しない限り、米国発の元高圧力は続くのかもしれません。

中国元の切り上げ観測は根強いようですが、予想通り、切り上げが実施され元高が進行した場合、米国の貿易収支赤字は改善に向かうのでしょうか?2005年7月の元切り上げ/管理変動相場移行後、約20%近く、元高が進行しましたが、米国の対中国貿易収支赤字はこの間、拡大しています(グラフ2参照)。また、90年代初頭の対日円高圧力の際、円は47%上昇しましたが、米国の対日貿易赤字は拡大しました(グラフ3参照)。過去の事例だけを見ると、他国の通貨高だけでは、米国の貿易収支赤字の改善にはつながっていないようです。効果が得られなければ、切り上げ幅の拡大や最終的には変動相場制への移行圧力を米国はかけ続け、結果、元高圧力は事ある度にくすぶり続けるのかもしれません。

グラフ2

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ3

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

中国元の切り上げが実施された2005年7月以降、元の高値をつけた2008年7月の期間のアジア通貨の対ドルパフォーマンスを見ると、豪ドル、フィリピンペソ、タイバーツ、シンガポールドルなどが当の中国元よりも高いパフォーマンスを示していたことがわかります(グラフ4参照)。一方、この間の円のパフォーマンスは低調に留まりました(元高に連れた円高は示現せず)。 資源国通貨の代表であり、地域的にも中国経済と関係の深い豪州(豪ドル)は多大な恩恵を受けた模様です。元の切り上げ/元高は、中国の購買力を高め、商品価格の上昇に貢献するとの思惑があるようです。ちなみに、2005年の元切り上げ後、商品価格は元に連れ高しています(グラフ5参照)。そうして、ご存知の通り、商品価格の上昇に豪ドルも連れ高しました。

グラフ4

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ5

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

金融市場ラインマーカー一覧へ

「金融市場ラインマーカー」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。