金融市場ラインマーカー

米国投資家のリスク選好度とエマージング株式市場

2010年04月09日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

  • 米国投資家のリスク選好度合いを観察することは、世界の金融市場の先行きを占う上で重要と思料する。
  • 米国投資家のリスク選好姿勢の改善を示唆するデータに連れて、エマージング株に代表されるリスク性資産は堅調推移。

世界の金融市場の先行きを占う上で、ヘッジファンドをはじめとする米国投資家のリスク選好度合いを観察することは重要なことです。リスク選好の度合いを見る上で、グラフ1と2は株式指数と安全資産の代表であるマネーマーケット・ファンド(MMF)の残高との関係に注目しました。MMFの残高は投資家のリスク回避が強まると増加し、リスク選好が高まると、減少する傾向があります。現状は、MMFの残高が急速に縮小する傍ら、リスク性資産の代表である米国株が上昇し、それを後ろ盾として、更なるハイリスク・ハイリターンを追求する余裕が生まれた米国マネーがエマージング株市場に流入し、同株式市場の上昇に貢献しているかのように見えます。

グラフ1

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ2

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ3

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

格付けの低い社債指数利回りと米国債指数利回りの格差が縮小する局面は、投資家のリスク選好が高まっている時期ともいえます。この市場心理を反映するように、リスクの度合いが、より高いMSCIエマージング株指数は、BBB格社債指数と10年米国債の利回り格差の縮小に連れ高となっています(グラフ3参照)。一方、MSCIエマージング株指数に比べるとリスクの度合いが低いMSCI世界株指数は控えめな上昇に留まっています。

グラフ4

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ4は安全資産の代表である米国債指数と、よりリスクの高いBBB格の米国社債指数の推移です(2008年、年初=100)。2008年の9月中旬以降、金融危機が急速に進んだことを受けて、リスク性資産のBBB格社債指数は急落する一方、安全資産の国債指数は急騰しました。ところが、金融危機の収束と共に、BBB格社債指数のパフォーマンスが米国債指数を上回り始めました。このことは米国投資家をはじめ、世界の投資家のリスク選好が改善している証左といえます。

米国の投資家のリスク選好を高めている背景の一つは、量的緩和を含む大規模な金融緩和です。現状はマネタリーベース(中央銀行が供給するマネーの総量)の増加に株価が連動しているのがわかります。ちなみに過去を見ると、米国株は二つのバブル期を除き、マネタリーベースから大きく乖離することなく推移してきました(グラフ5参照)。また、米国株が上昇すると、その収益を後ろ盾として、よりハイリスク・ハイリターンを求めるマネーが、エマージング株の上昇に貢献しているようです(グラフ6参照)。この観点で、言えば、ハイリスク資産の先行きは米国の大規模な金融緩和が続くかどうかにかかっています。ちなみに米金融当局は、長期に渡る金融緩和の維持を表明しています。

グラフ5

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ6

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

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