金融市場ラインマーカー
FOMC(米国連邦公開市場委員会)について
2010年01月29日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
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- 声明文の全般的なトーンは、ややタカ派的(金融緩和解除方向に前向き)な印象。
- 米国の利回り曲線は傾斜が急になっており、金融市場は経済活動を支援しやすい状況。
- FRB(米連邦準備制度理事会)による3月末のエージェンシーモーゲージ証券の購入停止は、金利の高止まり要因になりやすい。
FRB(米連邦準備制度理事会)は政策金利の誘導目標を0~0.25%の範囲内に維持し、異例の低金利を長期に渡り維持する時間軸を継続しました。声明文の内容は、表1の通りですが、全般的なトーンからすると、ややタカ派的(金融緩和解除に前向き)な印象を受けるとの見方が多いようです。また、ホーニグ・カンザスシティ連銀総裁が前述の「低金利を長期に渡り維持する」との文言の削除を求めていたとの報道もあり、2010年中の利上げの可能性が視野に入り始めたとの声も聞かれます。
表1
金融政策 |
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---|---|
経済活動 |
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家計支出 |
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企業部門 |
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金融市場 |
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グラフ2

FRBは約1年前の2008年12月に実質のゼロ金利政策と量的緩和策を打ち出しました。今回のFOMCでは、その量的緩和の一手段であるエージェンシーモーゲージ証券の購入が3月末で完了することが、あらためて表明されました。約1年前と現在の利回り曲線を比較すると、現在の方の傾斜が急になっていることがわかります。これは、FRBが指摘するように、金融市場を通して経済成長に支援的といえます。通常、金融機関は「短期金利で資金を調達し、長期で運用」しますが、短期と長期の金利差が大きければ大きいほど、金融機関の利ざやが大きくなるからです。この点を見る限り、1年前よりも現在の経済環境は好転しているといえます。
約1年前の2008年12月以降、量的緩和の一環としてFRBはエージェンシー債、エージェンシーモーゲージ証券等の資産購入(購入枠1兆4250億ドル)を実施し、市場に大量の流動性を供給してきました。このためグラフ3のようにFRBの資産は膨れ上がり、その対価として市場に大量のオカネが供給されたわけです。そうしてこれが、金利上昇の抑制要因になっていることは今更言うまでもありません。しかし、今年の3月末までには同購入計画の停止が予定されています。この措置の停止が金利にどの程度の影響を及ぼすかに注目が集まっています。3000億ドルの国債買取は既に昨年停止されていますが、その際には、さほど金利の上昇は招きませんでした。しかし、エージェンシー債とエージェンシーモーゲージ証券等の買取停止は、その購入枠(1兆4250億ドル)の大きさが、国債購入枠の約5倍程度にも上ることから、金利を高止まりさせる要因になるかもしれません(グラフ4参照)。
グラフ3

グラフ4

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