金融市場ラインマーカー

米国の出口戦略(金融緩和の解除)

2010年01月08日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

  • 米国の金融緩和解除にはまだ時間を要する模様。

グラフ1

出所:ブルームバーグ

米国では景気の回復傾向を示唆する指標の発表が相次ぎ、市場では、金融緩和の解除観測が台頭しています。各金融機関の予想平均によると、今年の3Q(第3四半期)に利上げ開始と見る向きが多い模様です(グラフ1参照)。利上げの地ならしとして、量的緩和の一環であるFRB(連邦準備制度理事会)によるエージェンシー債、エージェンシーモーゲージ証券等の資産購入計画(購入枠1兆4250億ドル)の停止が今年の1~3月期末までに予定されています。この措置の停止が金利上昇要因として、どの程度の影響を及ぼすかに注目が集まっています。

グラフ2

出所:ブルームバーグ

米国が出口戦略に向かうためには、少なくともリセッション(景気後退局面)から脱することが必要です。米国のリセッション判断はNBER(全米経済研究所)がその都度発表していますが、それをベースにすると、今回のリセッションは2007年12月からと定義されています。リセッションの終了時期は時間差を置いてNBERから後日発表されますが、仮にGDP成長率が底打ちした2009年夏場を景気の底と仮定すると、今回のリセッション期間は約18~19ヶ月程度であったといえます(グラフ2参照)。

グラフ3

出所:ブルームバーグ

リセッション終了後に時間差を置いて、過去は利上げが実施されていました。その時間差はグラフ3記載の通りです。結果的には70年代、80年代はリセッション終了後、時間差を置かずに利上げが実施されていますが、90年代以降は30ヶ月以上の時間差があるようです(グラフ3参照)。アノマリー(相場のクセのようなもの)的な発想をすると、仮にこの傾向が今局面でも踏襲されるとすれば、利上げは少なくとも2010年中はないことになってしまいます。

グラフ4

出所:ブルームバーグ

利上げ局面の条件を過去から探ることは、今後の利上げのタイミングを探る上で有効だと考えられます。例えば、過去の利上げは非農業部門雇用者数が20万人(緑ライン)を超過してから実施されています。このことを考慮すると、現状は利上げの環境にはなっていないと見ることもできます(グラフ4参照)。 (注:四角囲い部分は利上げ局面)

グラフ5

出所:ブルームバーグ

米国のGDP成長率の先行指標とも言えるISM指数(全米供給管理協会指数)と利上げタイミングには過去密接な関係が観測されます。ISM指数が景気の好況不況の分岐点である50を上回りさらに、55近辺になると、過去は利上げが実施されています。現在、12月発表のISM指数は55.9であり、この条件はクリアしています(グラフ5参照)。足元台頭している金融緩和の早期解除観測の根拠の拠り所はこの辺にあるのかもしれません。

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