金融市場ラインマーカー

米国雇用市場に安定化の兆候?

2009年12月14日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

  • 雇用市場は安定化に向かい、最悪期は脱した模様であるが、それは新規雇用を伴う本格的な回復には見えない。

グラフ1

出所:ブルームバーグ

12月4日に発表された、11月の米国の非農業部門雇用者数は、市場の予想を大幅に上回る改善を示しました。過去を見ると、約50万人近傍まで雇用者数が減少した地点が反転への分岐点となっています(グラフ1参照)。これは雇用削減の対象となる母数である雇用者数がそもそも限界的に少なくなってきたからかもしれません。これに対し、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長は7日に「雇用市場は脆弱だ」とコメントし、楽観論に警鐘を鳴らしました。

グラフ2

出所:ブルームバーグ

米国経済が本格的に回復するためには、雇用の伸びが回復しGDPの約7割を占める個人消費が活発化し、これを支える労働所得(※)を創出することが不可欠です。その意味で、雇用市場の先行指標である新規失業保険申請件数の動向を見ることは重要です。過去の景気後退局面における同指数のピークを100として指数化し、その後の推移を見ると、現在の雇用改善ペースは1982年時点のそれに類似しており雇用安定・景気回復の道程を緩やかに歩んでいるように見えます(グラフ2参照)。

  • 労働所得:労働の対価として得られる賃金・報酬等を指す。

景気後退局面では新規失業保険申請件数と米国株は連動性高く推移しているようです。今回の景気後退局面でも新規失業保険申請件数の減少に歩調を合わせ株価が上昇しています(グラフ3参照)。今後も株価が上昇してゆくかどうかの一つの分岐点は、雇用の改善傾向が続き個人消費が活発化しこれを支える労働所得が改善するかどうかです。足元は総労働投入時間の上昇や時間当たり賃金の改善もあり労働所得は底打ちしたようにも見えます。今後もこの傾向が継続すれば株価や米国経済は支持されるのでしょう(グラフ4参照)。

グラフ3

出所:ブルームバーグ

グラフ4

出所:ブルームバーグ

グラフ5

出所:ブルームバーグ

冒頭のグラフ1の説明で述べた通り、今回の景気減速局面では雇用削減の対象となる母数である雇用者数がそもそも限界的に少なくなってきたのかもしれません。だから雇用が改善したのかもしれません。しかし、今後、重要なのは、雇用の新規創出が回復するかどうかです。平均失業期間は史上最高に達し、長期失業者が増加している現状を見ると雇用の新規創出力が依然、脆弱であることを示唆しているようです(グラフ5参照)。

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