金融市場ラインマーカー

デフレとドル余剰と円相場の関係

2009年12月10日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

  • デフレによる日本の実質金利上昇は足元の円高要因の一つ。
  • 政府・日銀はデフレ対策、円高対策として、為替介入も含め、更なる量的緩和を打ち出す可能性も。

11 月20日に発表された月例経済報告で、政府は3年5ヶ月ぶりに「デフレ宣言」を行いました。デフレとは簡単に言うと、物価が持続的に下落してゆくことで、総需要が総供給を下回ることが主たる原因です。通貨の動向を決める重要な要素として実質金利差(名目金利-消費者物価)が挙げられますが、デフレ環境下ではマイナスの消費者物価が実質金利の水準を高めてしまいます。このためデフレ環境にある日本は、名目金利では世界最低水準にありますが、実質金利は高水準になってしまうのです(グラフ1参照)。足元の円高要因の一つには、他国比で相対的に高い日本の実質金利も寄与している可能性があります(グラフ2参照)。

グラフ1

出所:ブルームバーグ
  • 実質金利=3ヶ月金利-消費者物価(前年比)で算出

グラフ2

出所:ブルームバーグ
  • 実質金利=3ヶ月金利-消費者物価(前年比)で算出

グラフ3

出所:ブルームバーグ

デフレ環境を受けた日本の実質金利高などを背景とした円高を抑制する意図もあるのでしょうか、政府・日銀は介入の可能性を含む円高牽制を始めたようです。現在のデフレ的環境(マイナスの消費者物価)をキーにすると、現在はグラフ3、囲い部分の介入局面によく似ています。特に、2003年はデフレ阻止が大規模介入の命題になっていました。このことを考慮すると今後、更なる円高が進行した場合は介入の可能性が高まることが見込まれます(グラフ3参照)。

日米はそれぞれ金融緩和局面にあり、中央銀行が国債や社債等の証券を民間商業銀行から購入し、その代金を準備預金に払い込むことを通じてお金の供給量を増やしています。これを量的緩和といいます。従って準備預金残高の多さは、それだけ、お金の供給量が多いことを意味します。だから日本に比べて、米国の突出した準備預金残高の多さはドル余剰感につながり、ドル安要因の一つに捉えられているようです(グラフ4参照)。日米の準備預金格差とドル/円の連動が2008年以降、特に強まっていることはその証左です(グラフ5参照)。

グラフ4

出所:ブルームバーグ

グラフ5

出所:ブルームバーグ

グラフ6

出所:ブルームバーグ

12 月8日の臨時金融政策決定会合で、日銀はデフレ対策、円高対策の一環として、「広い意味での量的緩和」として、新たな資金供給策を打ち出しました。これを受けて、円TIBOR3ヶ月金利は低下し、これに歩調を合わせ円は一時、高値から反落しました(グラフ6囲い部分)。今後更なる円高が進行する局面では、介入の可能性が高まることに加え、日銀の追加資金供給策による金利の引下げ効果も見込まれ、円高の牽制になることが視野に入ります。

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