金融市場ラインマーカー

円高の進行と介入の可能性を探る

2009年12月01日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

  • ドバイ問題を受けたリスク回避的な円高の進行は現段階では限定的と見る。
  • 日本の金融当局の円高牽制が目立ち始めた、株安、デフレ抑制に対処する介入警戒感は今後高まることも。

グラフ1

出所:ブルームバーグ
※各金融危機発生日=100として指数化

アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の政府系企業の債務繰り延べを受けた信用不安で市場のリスク回避が強まり、円高が進行しています。円はグラフ1に見られるように、金融危機局面では避難通貨として高くなる傾向があるので、今回の急速な円高もその特性が反映されたものと考えることができます。ですから、今後の円相場を占うキーは、今後もドバイ問題が世界的な金融危機に発展するかどうかです。そうなれば、円高が更に進むことも視野に入りますが、グラフ2で確認できるように、ドバイ問題を受けても信用・流動性リスクの代替指標であるドルLIBOR3ヶ月物は低位安定していること、またリスク資産の代替指標であるエマージング株指数も安定的に推移していることを考えると、現在のドバイ問題が、昨年のLIBOR高騰、エマージング株暴落に該当するような世界的規模の金融危機に発展する可能性は少ないと見てよさそうです。現段階では、ドバイ問題はUAEの国内問題として解決可能と見る向きが多いようです。実際、ドバイ金融市場総合指数が大幅下落となっているのに対して、米国株はその影響を現在受けていません(グラフ3参照)。であれば、この材料を背景としたリスク回避的な円高圧力も限定的なのかもしれません。

グラフ2

出所:ブルームバーグ
2009年11月30日現在

グラフ3

出所:ブルームバーグ
2009年11月30日現在

円高に対して傍観をしていた日本の金融当局者が、足元の急速な円高に対し、介入の可能性をちらつかせつつ、牽制を開始しました(表1参照)。グラフ4に見られるように、1999年と2003年を例外に、政府日銀は株価が下落する局面での円高進行に対して円売り介入を実施する傾向があるようです。今局面も日本株の軟調推移が続く中での急激な円高進行であり、日本の金融当局は警戒を強めたのかもしれません。また、2003年当時の大規模介入の命題がデフレ阻止だったこともあり、11月20日の政府による「デフレ宣言」も今局面での介入の可能性を想起させているのかもしれません。2000年以降、円売り介入は日銀短観の企業の年度計画想定為替レートの水準よりも実際の為替が円高に振れた水準で実施されてきました。足元の円相場は、2008年10月27日のG7共同声明における「円高牽制」発言当時の水準を上回っており、今後更なる円高が進行した場合は介入警戒感が台頭してくることが見込まれます(グラフ5参照)。

表1

白川日銀総裁 金融市場の安定を確保するために必要と判断される場合は迅速、果敢に行動する。デフレ克服のために最大限の努力をする。
藤井財務相 為替介入否定の一部報道を公式に否定。円高に対するG7緊急声明を臨機応変な対応の一つとした。
鳩山首相 円高・株安対策を今年度第2次補正予算に盛り込むよう指示

グラフ4

出所:ブルームバーグ

グラフ5

出所:ブルームバーグ

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