金融市場ラインマーカー

デフレ環境下での金価格上昇と資源国通貨

2009年10月16日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

  • 金融当局による通貨の供給は、余剰運用資金となりデフレ環境下にもかかわらず金市場に流入し、金価格上昇の要因に。
  • 通貨増刷が続く限り、金価格は支持されやすく、資源国通貨には恩恵も。

グラフ1

出所:ブルームバーグ
  • 米国10年国債と米物価連動債の利回り格差から算出

金は通常、インフレ環境下での資産価値保全手段として価格が上昇する傾向があります。しかし、現局面はむしろ市場のインフレ予想(※)が、米国消費者物価の10年平均を下回るデフレ的環境にもかかわらず、金価格が史上最高値を更新する、一種特異な現象が起きています(グラフ1参照)。

グラフ2

出所:ブルームバーグ

米国や世界の金融当局の金融政策は、量的緩和策などを通じ、金融市場に大量のお金を供給してきました。これは人為的にインフレを作る政策とも言えます。だから過剰供給を受け、民間銀行がFRBに法的に預けなければならない預金の一定割合を超えた超過準備が急拡大しています。にもかかわらず、米国の民間銀行はこの余剰資金を貸し出しに回しておらず、銀行貸し出しはむしろ落ち込んでいます(グラフ2参照)。せっかく供給されたお金が銀行内に滞留して、世間に還流しなければインフレは起き得ず、デフレ的環境が続くことになってしまいます。金はインフレヘッジの手段といわれますが、今局面ではデフレ的環境下にもかかわらず金価格が上昇しています。これにはどのような背景があるのでしょう?

グラフ3

出所:ブルームバーグ
※2007年1月1日を100として指数化

銀行や金融機関は、金融当局から供給された余剰資金を貸し出しには回していませんが、高い収益を求めて他の運用資産に充てているようです。その運用先の一つが金なのかもしれません。通貨市場の短期金利はほとんどゼロ近傍で、かつ通貨の増刷から他の資産価値と比較した通貨市場の価値は運用先として低下する一方です。そこで資産価値保全の手段として実物資産の金が選好されているようです。このロジックでいけば、現在の金価格上昇はインフレとは別物といえます。 その証拠に金価格とコモディティ指数は別の動きをしています(グラフ3参照)。言い換えるなら、物価動向にかかわらず、通貨の増刷が続く限り、金価格は支持されるといえるのかもしれません。また、通貨市場の凋落をドル実効指数で代替すると、年初以降、ドル実効レート下落/金価格上昇が鮮明化していることがわかります(グラフ3参照)

グラフ4

出所:ブルームバーグ
※2008年1月1日を100として指数化

通貨の増刷が続く限り、金価格が支持されるという前提に立つと、金価格と連動性が高い、資源国通貨(豪ドル、ブラジルレアル、南アフリカランド)などは選好されやすい通貨群との考えが成り立ちます(グラフ4参照)。実際に年初来の主要16通貨での対円パフォーマンスはブラジルレアル(+34%)、南アフリカランド(+29%)、豪ドル(+29%)がベスト3になっています。一方ワースト3は米ドル(-1.4%)、台湾ドル(+0.43%)、シンガポールドル(2%)となりました。

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