金融市場ラインマーカー

円キャリー(円借り取引)の復活と高金利通貨選好

2009年09月16日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

  • 4-6月期以降の世界景気の回復傾向の中で円キャリー取引のパフォーマンスが+10%を越えた通貨は、日本との金利差がより大きく、かつGDP成長率予想が高い特色がある。
  • 市場の注目は再度、金利差や経済成長率などのファンダメンタルズに回帰しはじめた模様。

世界的に景気回復が鮮明化した4-6月期以降の対主要通貨での円キャリー取引の収益を見ると、ブラジルレアル、南アフリカランド、ニュージーランドドル、豪ドルが+10%を越える高いパフォーマンスを示しています(グラフ1参照)。円キャリー取引とは、金利の低い円でお金を借り、より高い金利の外国で運用する日本と海外の金利差に着目した投資手法です。グラフ1の上位に位置している国の通貨群は高い金利水準にあることがわかります(グラフ2参照)。足元、市場の注目が再度、金利差に向かい始めた証左といえるでしょう。ちなみに、日本の金利は低利なので借り入れに適した環境となっています。言い換えるならば円は調達通貨に適しており、運用通貨としての魅力は相対的に少ないといえます。

グラフ1

出所:ブルームバーグ

グラフ2

出所:ブルームバーグ
(注)金利水準は2009年9月15日現在の水準

グラフ3

出所:ブルームバーグ

グラフ3は、縦軸に実質GDP成長率の民間予想の平均(2009年対前年比)、横軸に日本との3ヶ月金利差を表示しました。金利差や先行きの経済動向など、ファンダメンタルズに市場の注目が集まり始めた現在の環境では、図中のより右上方向に位置する通貨が選好されやすくなります。その証拠に、ブラジルレアル、南アフリカランド、豪ドル、ニュージーランドドルの各通貨はグラフ1で高いパフォーマンスを示現しています。

G10通貨(※1)のうち主要先進国群の対日3ヶ月金利差はグラフ3で見る限り、およそ0%近傍に集中しており、低利で調達した円資金の運用先としては差別化ができません。一方、ブラジルや南アフリカなどの高金利国は運用先として差別化が可能です。そこで、高金利通貨(※2)を地域別に均等配分し円キャリー取引運用をする指数を組成し、同G10指数と比較すると、前者のパフォーマンスが後者を上回りました(グラフ4参照)。このことからも、足元の環境が、より高金利の通貨群に資金が集まりやすい、まさに円キャリー取引に適した環境になってきたことがわかります。

グラフ4

出所:ブルームバーグ
  1. 豪ドル、ニュージーランドドル、スウェーデンクローナ、カナダドル、ポンド、ノルウェークローネ、デンマーククローネ、スイスフラン、ユーロ、米ドル
  2. ニュージーランドドル、豪ドル、ブラジルレアル、ノルウェークローネ、南アフリカランド、カナダドル

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