金融市場ラインマーカー

ドルの基軸通貨体制は続くのか?

2009年08月07日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

  • ドルに対する信頼低下や基軸通貨としての再評価に関する議論が出始めており、一部の国からは、ドルに代わる基軸通貨として、ユーロやSDRの活用を求める声が挙がっています。
  • しかし、基軸通貨としての適合性から判断する限り、ユーロ・SDRともドル並みの要件を満たしているとは言えないため、当分の間はドルが基軸通貨しての地位を維持する公算が高いと考えられます。

米国経済の停滞およびドル供給の急増を背景に、ドルに対する信頼低下や基軸通貨としての再評価に関する議論が出始めており、一部の国からは、ドルに代わる基軸通貨として、ユーロやSDRの活用を求める声が挙がっています。

しかし、基軸通貨には、(1)取引通貨としての役割、(2)表示通貨としての役割、(3)貯蔵通貨としての役割、が求められます。 図表1のとおり、ユーロは表示通貨としての役割(例:原油価格の表示に利用)が弱く、SDRは貯蔵通貨としての役割(例:外貨準備として利用)は果たしますが、取引通貨としての役割(例:貿易取引の決済に利用)および表示通貨としての役割を果たすことができません。

このように、基軸通貨の適合性から判断する限り、ユーロ・SDRとも現時点でドル並みの要件を満たしているとは言えず、当分の間はドルが唯一、基軸通貨しての地位を維持する公算が高いと考えられます(図表2参照)。

図表1:基軸通貨の機能・要件と、ユーロ・SDRの適合性判断

図表2:世界の外貨準備における主要通貨別残高

出所:IMF、経済産業研究所

(参考)

SDR(Special Drawing Rights)とは、加盟国の既存の準備資産を補完するために1969年に国際通貨基金(IMF)が創設した国際準備資産です。IMFのクォータ(出資金)に比例して加盟国に配分されます。SDRの価値は、主要な国際通貨のバスケット(加重平均)に基づいて決められます。バスケットの構成は、世界の貿易及び金融取引における各通貨の相対的重要性を反映させるよう、5年ごとに見直されますが、2006年以降、各構成通貨のウェイトは、ドルが44%、ユーロが34%、円とポンドがそれぞれ11%となっています。

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