金融市場ラインマーカー

中国経済回復の兆候と豪ドル

2009年04月21日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

2009年3月以降、中国の総額4兆元(約57兆円)にのぼる巨額の景気刺激策の効果を受けた中国経済の回復が豪ドルの支持要因になるとの主旨を当レポートや金融市場NOWで述べてきました。その後、同景気刺激策の初期の効果が既に表れ、中国経済回復の兆候を示唆するデータが見受けられるようになってきました。これに連れて豪ドルも上昇しています。今回はこの点に焦点を当てました。

グラフ(1)中国のマネーサプライと銀行貸出し

出所:ブルームバーグ
  • 通貨+定期預金+貯蓄性預金+その他預金

中国のマネーサプライM2(※)が急増しています。これに伴い、銀行の新規貸出しも加速しています。このことは、中国の経済活動が回復し始めた可能性を示唆しています。中国での資金調達は、欧米型の直接金融ではなく、銀行貸出し等が依然主流です。このため、銀行貸出し等のマネー拡大の影響は時間差を伴い、マクロ経済にプラスに働く傾向があります。

グラフ(2)中国固定資産投資とCRB商品指数

出所:REUTERS/JEFFRIES、ブルームバーグ

中国の総額4兆元(約57兆円)にのぼる巨額の景気刺激策の予算内訳は、交通・発電・インフラ・震災復興が全体の約60%を占めます。つまり建設工事に関連する支出項目が圧倒的に多いわけです。この効果が既に設備投資と建設投資の合計である固定資産投資の急上昇に表れています。これに伴い、石炭や非鉄金属等、鉱産資源の需要増が予想されます。商品市況と連動性の高い豪ドルにとって、このことはプラス要因と見られているようです。

グラフ(3)豪州の対中国、日本、米国輸出動向

出所:ブルームバーグ

前述の通り中国で鉱産資源の需要が高まると、恩恵を受けるのは、世界有数の鉱産資源国である豪州との見方ができます。実際に豪州の対日向け輸出が大幅に減速する一方、対中国向け輸出は急上昇しています。

中国の2009年1-3月期の実質GDP(前年比)は市場予想よりも若干低い6.1%となりました。しかし、景気刺激策の効果が今後も期待されることや、追加の経済対策を見込む向きも多く、中国経済の底入れ観測も根強いようです。前述の通り、中国経済の勢いが維持されれば、それは豪州経済にもプラス要因と考えられます。豪ドルはこの密接な経済関係を反映し、中国のGDPや鉱工業生産の動向と連動性高く推移してきました。中国の巨額の景気刺激策もあり、中国の温家宝首相は今年の中国経済が約8%の成長になると公約を示しました。これが達成されれば、豪ドルはその恩恵を受ける通貨の最有力候補なのかもしれません。

グラフ(4)中国鉱工業生産と豪ドル/円

出所:ブルームバーグ

グラフ(5)中国実質GDPと豪ドル/円

出所:ブルームバーグ

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