金融市場ラインマーカー

リスク回避緩和とエマージング通貨の関係

2009年04月08日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

3月初旬から、米国金融機関の業績見通しや一部の米国経済指標の改善および、PPIP(米国の不良資産買取プログラム)の5月からの開始が発表されたことに加え、国債の買入れを含む各種金融政策・信用対策措置やG20金融サミットでIMFによるエマージング諸国援助可能額の大幅拡大の決定等を受けて世界的にリスク回避が緩和している模様です。この環境下、今回はリスク資産の代表であるエマージング通貨の動向に焦点を当てました。

エマージング諸国の一部には、主要な一次産品を持たず、貿易相手国も限定的であるなど、輸出競争力が低い国もあります。このため、経常収支赤字、対外債務が慢性化し、海外からの証券投資等でその資金繰り(ファイナンス)を行ってきた国が多いのです。このため、現下のようなリスク回避局面では、世界からの証券投資が滞留し、エマージング諸国の資本収支が悪化することにより、通貨安が起きます。エマージング諸国通貨の反発上昇には、世界的リスク回避環境の改善が必須です。

(グラフ1)エマージング諸国への資本流入とエマージング株価指数

出所:MSCI、IIF

(グラフ2)エマージング諸国への資本流入とエマージング通貨実効レート

出所:MSCI、IIF

(グラフ3)市場のリスク許容度の代替指数とエマージング通貨/円

出所:ブルームバーグ

昨年夏場以降の金融危機で市場のリスク許容度は著しく低下しました。このことを反映する指数の一つに、CDX北米投資適格指数があります。これは社債の債務不履行が起きた場合に、債務を負う企業に代わり、支払いを保証する保険料の一種を指数化したものです。この指数の上昇(市場のリスク許容度の低下)に連れ、エマージング通貨は対円で下落してきましたが、3月上旬以降、同指数は低下し、市場のリスク許容度も改善してきたようです。これに連れて、エマージング通貨も反発しています。

  • 各通貨は2008年9月15日のリーマンショック=100として指数化

(グラフ4)3月初旬~4月初旬までの各通貨の対円パフォーマンス

出所:ブルームバーグ

3月初旬以降現在(3/2~4/7)までのエマージング通貨と主要通貨の対円パフォーマンスを見ると、リスク性資産として回避されてきたエマージング通貨が軒並み高いパフォーマンスを示現しました。一方、リスク回避局面における米ドル不足で上昇していた米ドルのパフォーマンスは、3月初旬以降は低位に留まっています。また、米ドルと同じくリスク回避で買われていた金のパフォーマンスは現下、マイナス域に転落しました。このことは、市場のリスク回避の緩和を示唆しているかもしれません。

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