金融市場ラインマーカー

米英日の量的緩和(国債買入れ策)について

2009年04月07日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

2011年6月以降のレポートはこちらから

金融市場動向

3月18日に米連邦準備理事会(FRB)は量的緩和・信用緩和策の一段の拡大といえる、国債買入れを実施することを発表しました。今回はこの点に焦点を当てました。

主要国の量的緩和実施国のうち、国債の買入れを実施しているのは、米国、英国、日本です。それぞれの買入れ額は3000億ドル、750億ポンド、21.6兆円であり、対GDP比でも対国債発行残高比でも高い比率を占めており、金利低下や信用市場の健全化に向けて効果が期待されます。米国はすでに、エージェンシー債やモーゲージ証券(MBS)の買入れを通し量的緩和を実施していますが、これらの債券の買入れ額に今回の国債買入れ額を加えた買入れ額合計の発行残高比は約16%もの高水準にのぼります。

(グラフ1)国債買入れ額の対GDP比

出所:ブルームバーグ

(グラフ2)国債買入れ額の対国債発行残高比

出所:ブルームバーグ
  • 米国は満期2年以上の利付き国債の発行残高

(グラフ3)米国の財政状況と10年国債

出所:ブルームバーグ

米国の国債買入れは実は今回が初めてではありません。財政収支の黒字化を背景に2000年3月から約2年間、国債の買入れを実施しました。買入れ額は当時670億ドルと巨額であったことに加え、ITバブルが崩壊し金利低下観測が急速に台頭したこともあり、10年国債の利回りは急激に低下しました。今回の国債買入れは財政収支赤字の中で実施され、2000年3月当時とは背景が異なりますが、その効果は2000年当時と同じく、住宅ローンを含む金利の低下に寄与するものと考えられます。

オバマ政権の住宅対策に加え、米国国債の買入れを含む一連の量的緩和措置の効果からか、住宅ローン金利が一段と低下しています。これを受けて住宅ローン借換えが回復傾向にあり、住宅ローンの新規申請も小反発しています。住宅市場の底入れの可能性を見込む向きも出てきた模様です。

(グラフ4)米住宅ローン金利と住宅ローン借換指数

出所:ブルームバーグ

(グラフ5)米住宅ローン金利と住宅ローン購入指数

出所:ブルームバーグ

(グラフ6)英国の住宅ローン承認件数

出所:ブルームバーグ

英国も国債の買入れを含む量的緩和を3月上旬から実施していますが、米国と同じくその目的の一つは、住宅ローン金利の低下を含む金利全般の低下を促進することでしょう。その効果もあるのか、英国でも米国と同じく、住宅ローン承認件数(※)に底入れの兆しが現れはじめました。

  • 住宅ローン申請に対しローン契約が承認された件数

金融市場ラインマーカー一覧へ

「金融市場ラインマーカー」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。