金融市場ラインマーカー

欧州各国の利下げについて

2008年11月10日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

11月6日に実施された欧州諸国の利下げに今回は焦点を当てました。

11 月6日には、欧州中央銀行(ECB)が-0.5%、英国中央銀行(BOE)が-1.5%利下げを決定しました。利下げ後の政策金利は、それぞれ3.25%、3%となりました。その他、周辺欧州諸国でもスイス-0.5%、デンマーク-0.5%、チェコ-0.75%の利下げが実施されました。各国の利下げの背景はそれぞれ共通して「信用収縮を背景とした景気後退のリスクに配慮した」との主旨です。

ECB、BOEの声明要旨

欧州中央銀行(ECB) 声明要旨

  • 金融市場混乱の影響が長期間に渡り世界とユーロ圏の需要を下押しする可能性が高い。
  • インフレは今後低下し、2009年には物価安定的な水準に達するだろう。
  • 12月に利下げをするかどうかは12月のECBの四半期経済見通し改定がどうなるかによるところが大きい。
  • 今回は0.5%と0.75%の利下げ幅のオプションが議論された。

英国中央銀行(BOE) 声明要旨

  • インフレ見通しは大きく後退
  • 経済見通しは顕著に悪化した。
  • 金融市場はこの100年で最も深刻な動揺に見舞われた。
  • 世界的な銀行への資本注入と銀行間債務の保証は緩和し始めた模様だが、家計や企業への信用供与はまだ制約を受けそうだ。

ユーロ圏のイールドカーブ(利回り曲線)

出所:ブルームバーグ

今回の利下げと声明文の内容を受けて、先行きの利下げ観測が高まり、ユーロ圏のイールドカーブの傾きは、前回の利下げ時点(10/8)と比較してスティープ化(傾きがきつくなる)しました。政策金利の動向に敏感に反応する傾向のある2年金利ゾーンが先行きの金融緩和を更に織り込み、その下げ幅が長期金利ゾーンの低下幅よりも大きくなっています。

欧米の銀行間カウンターパーティリスク(※2)の状況

出所:ブルームバーグ
  • 2 銀行間の資金調達等で互いの銀行の経営状態に対して疑心暗鬼となり信用収縮がおきるリスク

一連の政策金利の引下げは、銀行間資金調達市場でのカウンターパーティ・リスクの高まりから信用収縮が起きている状況を改善しようという主旨があります。しかし、奏功しているとは言いがたい状況です。カウンターパーティ・リスクの状況を判断する指標の一つにLibor/ois(ロンドン銀行間出し手金利/オーバーナイト・インデックス・スワップ)スプレッドがあります。米国の同指数は政策金利の引下げに加えて、準備預金、超過準備(※1)に対して利子を付与するファシリティ等、量的緩和政策を既に実施していることもあり、大幅に低下していますが、欧州では横ばい推移となっており、カウンターパーティ・リスクの緩和にはつながっていない状況です。このことから欧州でも米国のように政策金利の引下げに加えて、量的緩和のような資金供給ファシリティの新設を見込む向きもあるようです。

  1. FRB(連邦準備制度)内にある当座預金口座に銀行が法定準備預金以上に預けている預金)

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