金融市場ラインマーカー

各国の金融安定化策について

2008年10月16日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

2011年6月以降のレポートはこちらから

金融市場動向

世界的な金融危機への対応が協議されたG7財務相・中央銀行総裁会議では、共同声明としての行動計画が採択され、あらゆる手段を講じると宣言がなされました。その後、各国政府が金融機関救済策を相次いで発表しています。10/14には米国の具体策が発表され市場は一旦落ち着きを取り戻したように見えます。今回はこの点に焦点を当てました。

各国政府は、G7会議以降、相次いで金融機関救済策を発表しています。それらの措置は、(1)金融機関の資本不足を改善させるために公的資金で資本注入を行う、(2)信用収縮を改善させるために、政府が金融機関の債務を保証する、(3)銀行からの企業の大口預金の流出を防ぐために、政府が預金保護を行う、(4)更なるドル資金の流動性供給という大きく分けて、4つの特徴があります。

各国の金融機関救済策の概要

米国
  • 銀行への資本注入(2500億ドル:大手9行から優先株(※1)1250億ドルを購入し先行注入)
  • 金融機関の新規発行無担保債務の保証(約3年間の時限措置)
  • 無利子の決済性預金(※2)の保証(2009年末まで)
  • 10/27からFRB(連邦準備制度)がCP(※3)買いオペを実施
ユーロ圏
  • 銀行の期間5年以内の債務を2009年末まで保証
  • 政府による銀行株取得を容認
  • 銀行への資本注入
  • 銀行間の融資保証(4000億ユーロの政府融資枠)
  • 銀行への資本注入(最大800億ユーロ)
  • 銀行間の融資保証(3200億ユーロの政府融資枠)
  • 銀行への資本注入(最大400億ユーロ)
英国
  • 大手銀行3行への資本注入(RBS、HBOS、ロイズTSBに計370億ポンドの資本注入実施:事実上国営化)
  • うち2行の株式過半数取得
豪州
  • 預金の3年間全額保護
  • 銀行の資金調達保証
世界協調策
  • 日米欧5ヵ国中央銀行の米ドルスワップ協定(※4)の上限撤廃→無制限のドル資金供給
  1. 株主総会での議決権がない株式
  2. 企業等が決済のために保有することの多い無利子の口座
  3. 短期金融市場で企業が資金調達を目的として発行する無担保の約束手形。買いオペは中央銀行がこれを買い上げることを通して、市場に流動性を供給すること。
  4. 通貨スワップ協定:中央銀行間で自国の通貨を相互に預け入れ、必要な外貨を調達する制度。例えば、米連邦準備制度理事会(FRB)と日銀間では総額601億ドルのスワップ協定を締結し、日銀が国内の金融機関にドル資金を供給する。

米欧英 Liborの推移

出所:ブルームバーグ

市場参加者は、金融機関救済策を、おおむね好意的に受け止めた模様です。国際的な金融機関同士のドルやユーロ等の資金調達金利であるLiborはカウンターパーティーリスク(※)等を受けた信用収縮から高騰していましたが、2営業日連続で低下しました。

  • 銀行間の資金調達市場等で、互いの銀行の経営状態に対して疑心暗鬼となり信用収縮が起きること。

ドルのLibor金利/米財務省短期債券金利格差

出所:ブルームバーグ

国際的な金融機関同士のドルの調達金利であるLibor金利とT-bill(米財務省短期債券)の金利格差であるTedスプレッドは、短期金融市場におけるドル資金の流動性リスクの高まりを判断する指標の一つですが、金融機関救済策の発表を受けて質への逃避(安全性を求め国債へ資金シフトが起きること)を解消する動きがあり、ピークアウトしつつあります。

金融市場ラインマーカー一覧へ

「金融市場ラインマーカー」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。