金融市場ラインマーカー

主要中央銀行の協調 緊急利下げについて

2008年10月10日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

10/8に米欧を中心とした主要6中央銀行(米国、欧州、英国、スイス、カナダ、スウェーデン)が0.5%の協調利下げを実施しました。また、中国、アラブ首長国連邦、香港、クウェートも同時に協調利下げを発表しました。今回はこの点に焦点を当ててみました。

今回の協調 緊急利下げは、参加した国の数からして過去に前例のないものです。また、10/10のG7直前のタイミングということもあり、それだけに、アナウンスメント効果を通した市場の安定化を意図したものであるといえます。ただし、現時点での市場の反応はあまり芳しくない模様です。なぜなら、金融危機の根幹である金融機関の資本不足懸念が協調金融緩和で解決すると見る向きは少ないからです。市場参加者は、金融危機解決のキーは金融機関への公的資本注入の効果的実現と考えているようです。

中央銀行共同声明の概要

  • 最近の世界的金融危機に対して、各国中央銀行は緊密な連絡をとり、流動性供給策など、前例のない強調行動をとってきた。
  • エネルギーや原材料価格の顕著な下落などから、インフレ圧力が緩和し始めている。物価安定に対する信頼は高い。
  • 最近の国際的な金融危機の高まりによって、経済成長に対する下方リスクが高まっている。
  • こうした状況下では、グローバルな金融環境をある程度緩和することが正当化される。

金融危機の中心にある米国では、先に、金融機関の不良資産を、公的資金を活用して買い取る金融安定化法案が可決されています。市場では同法案は不評との声が多く聞かれます。しかし、監督当局(SEC)が適切と判断した場合、不良資産を時価でなく、満期保有価格で買い取ることができる適用があることには注意が必要です。なぜなら、理論上、時価よりも高く不良資産を買い取るケースが想定されるため、そうなれば、金融機関のバランスシートは大きく改善する可能性があるからです。そうなれば、信用収縮も改善に向かい、金融緩和効果が奏功する局面を迎えるのでしょう。

FOMCの声明内容 前回FOMC声明との比較

  前回(9/16)FOMCでの声明 10/8世界協調緊急利下げ時のFOMC声明
経済成長について 経済成長は最近減速したようだ 入手可能なデータは経済活動のペースが最近数ヶ月で顕著に減速したことを示唆
金融市場について 緊張が著しく高まった 金融市場の混乱の激化は家計・企業の信用能力を一段と低下させる。
インフレについて 前々回(8/5)に表明された一文 「インフレ期待の一部指標は高止まりしてきた」が削除された インフレ率は高かったが、エネルギーや他の商品価格の下落と経済活動の減速見通しによって、インフレの上昇リスクは低下した
金融政策姿勢について 経済金融動向を注意深く監視し続け、持続可能な経済成長と物価安定を促進するために必要に応じて行動する。 同左

米欧英 Liborの推移

出所:ブルームバーグ

今回の協調 緊急利下げの背景の一つは、世界的な信用収縮への対処が挙げられます。金融機関同士が資金の調達を行うLiborでは、米ドルを中心に金利が上昇し、資金調達が困難な状況です。この低下を狙った金融緩和でしたが、利下げ後もLibor金利は高止まりしたままです。市場は、迅速かつ効果的な資本注入と更なる金融緩和、流動性の供給を求めているようです。

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