金融市場ラインマーカー

ユーロについて

2008年10月09日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

米国の金融危機がユーロ圏にも波及するとの観測や、ユーロ圏の景気悲観論の台頭もあり、為替市場ではユーロ安が進行しています。今回はこの点に焦点を当ててみました。

米国では個人消費の対GDP費が70%以上もあり、住宅価格の下落や信用収縮や金利の高止まりは、ダイレクトに個人消費の減速につながり景気に影響を与えます。一方、欧州は米国に比べ、個人消費の対GDP費が低いため、景気の下押し圧力は、軽微に留まるとの見方もできます。また、ユーロ圏の輸出の対GDP費は高水準(43%)であり、現在のユーロ安は、中長期的に見て、景気の支持要因ともいえます。実際、過去のユーロ圏のGDPとユーロ実効指数(※)は逆相関の関係で推移してきました。

  • ユーロと主要な他通貨間の為替レートを貿易ウェイトで加重平均した上で、基準時点を決めて指数化する形で算出したもの。

ユーロ実効指数とユーロ圏GDP

出所:ブルームバーグ

GDPに占める輸出と個人消費の割合

出所:ブルームバーグ
2008年2Qベース

日欧3ヶ月金利差とユーロ/円

出所:ブルームバーグ

ユーロ/円は、2003年以降、日欧3ヶ月金利差に連動して推移してきました。しかし、足元は、金融危機という異常事態の最中にあるため、平常時にはワークする金利差というファンダメンタルズが全く無視された相場つきになっており、オーバーシュート(過剰反応)と考える向きもあるようです。

円キャリー(円借り取引)の収益が拡大する条件

出所:ブルームバーグ

金利差が為替市場の動向と密接に連動する条件の一つは、市場のボラティリティが低いということです。図表中の赤折線グラフは欧日3ヶ月金利差をインプライドボラティリティ(※)で割った指数です。この指数の値が大きい局面では、金利差と為替の関係が強まる傾向が見られます。現状は、金融危機の最中であり分母である市場のインプライドボラティリティが高いため、金利差に整合的な相場にならないようです。ユーロ/円が金利差を反映し、上昇に転じる条件の一つは現在の市場の混乱が収束に向かうことかもしれません。

  • 将来にどのくらいの範囲で価格変動するかを表し、市場参加者が今後の相場変動をどのように考えているかを測る指標のひとつ。

日欧2年国債金利差とユーロ/円の回帰分析

出所:ブルームバーグ

現在の金融混乱が収束した場合、前述の通り、市場のインプライドボラティリティが低下すると見込まれるため、ユーロ/円は日欧金利差に連動した相場つきに回帰することが予想されます。ちなみに、2003年以降の相場において、ユーロ/円の変動の80%(決定係数=0.7682)近くが日欧2年国債金利差で説明できていました。現状の同金利差から推計したユーロ/円は140円程度が適正であり、現状は円の過大評価水域にあると見ることもできます。

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