金融市場ラインマーカー
欧州政策金利据え置きについて
2008年10月06日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
-
2011年6月以降のレポートはこちらから
ECB(欧州中央銀行)は、10月2日に政策金利を現行4.25%のまま据え置くことを発表しました。今回はこの点に焦点を当てました。
声明の内容が以下図表の通り「利上げに前向きなトーンが後退」したことから、11月に利下げを見込む向きが増加しました。市場では11月の0.25%利下げを75%程度の確率で織り込みはじめました。今回の声明の導入部分から「現行の金融政策スタンスは我々の目標達成に貢献するだろう」との一文が削除されました。声明の内容に加え、この事象もあり、今後の金融政策姿勢が利下げ方向に変更される可能性を市場参加者は見た模様です。
声明内容の概要
- 経済成長 について
-
成長へのリスクは下方向
金融市場の緊張が主な原因 - インフレ について
-
物価安定に対する上方向のリスクは軽減されたが、なくなってはいない
- 金融政策 姿勢について
-
金利据え置きと利下げの2つの選択肢を検討した。 据え置きの決定は全会一致だった。
欧州のイールドーカーブ

今回の声明を受けて、先行きの利下げ観測が高まったことを反映し、イールドカーブ(利回り曲線)の傾きは、前回の政策理事会時点(9/4)との比較でスティープ化しました。政策金利の動向に敏感に反応する傾向のある2年金利ゾーン金利が先行きの利下げを織り込み大幅に低下し、長期ゾーンの金利低下幅を上回っているわけです。
今後1年間に織り込まれている政策金利変化幅

今後1年間に織り込まれている政策金利の低下幅は更に低下し、約1%(100bp)になりました。
欧米の3ヶ月Libor金利

米国発の金融危機が欧州にも波及した状況が続いています。このため、金融機関同士が資金のやり取り(調達・貸出)を行う短期金融市場では、次の金融機関の破綻による資金回収不能を恐れて、金融機関がユーロ資金の貸し出しに慎重になっています。このため、ユーロの調達金利が高止まりしています。トリシェECB総裁が声明で言及した「金融市場の緊張」は少なくとも、当該金利の高止まりが解消されるまでは続きそうです。
金融市場ラインマーカー 関連記事
- 2020年11月10日号
- 【アナリストの眼】前提が変わる時代のアナリスト活動
- 2020年10月12日号
- 【アナリストの眼】企業の「パーパス」に対する期待と関心の高まり
- 2020年09月24日号
- 【アナリストの眼】自動車業界の環境対応と長期業績予想へのインテグレーション
- 2020年02月28日号
- POS小売指数による消費税増税後のマクロ消費予測
- 2020年02月17日号
- 【アナリストの眼】インバウンド消費が向かう先
「金融市場ラインマーカー」ご利用にあたっての留意点
当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。
【当資料に関する留意点】
- 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
- 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
- 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
- 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
- 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。