金融市場ラインマーカー

政府系住宅金融機関(GSE)の公的管理について

2008年09月09日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

9月7日(日)に米国財務省は、ファニーメイやフレディマック等の、いわゆるGSEをFHFA(連邦住宅金融局)という公的機関の管理下に置く決定を発表しました。今回はこの一連の措置が金融市場に及ぼす影響を考えてみたいと思います。

ファニーメイ、フレディマック両社を公的管理下に置くと同時に、以下の救済策が発表されました。その中で、金融市場に特に影響の大きい点を抜粋しました。大雑把ながらも、その影響を考察すると、エージェンシー債市場、エージェンシーMBS市場にとって好材料と考えられます。

救済策のポイントのその影響

GSE救済策の主要ポイント(抜粋) 予想される影響
公的資金による優先株の購入(当初2社に対し10億ドル、その後必要に応じて1000億ドルまで) 公的資金の注入により、GSEが債務超過に陥ることを回避。GSEの信用不安を受けた資金調達コスト(エージェンシー債の金利上昇等)は抑制される可能性も
2009年末まで財務省がGSEから直接エージェンシーMBS(※)を購入 エージェンシーMBSの一段の金利上昇が抑制される可能性。モーゲージローン金利上昇の抑制要因
  • モーゲージ証券

エージェンシー債と米国債のスプレッド(利回り格差)

出所:ブルームバーグ

ファニーメイ、フレディマックの資金調達手段の一つである、エージェンシー債と、米国債とのスプレッド(米国債に対する上乗せ金利)は両社の信用不安を受けて拡大傾向にあります。これが住宅ローン金利の上昇を通じて住宅市場の悪化につながっています。今回の公的資金の注入は、両社の信用不安の抑制につながるため、エージェンシー債市場の金利低下要因と考えることができそうです。今後、エージェンシー債と米国債のスプレッドが縮小してゆくか要注目です。

両社の運用手段の一つであるMBSと米国債とのスプレッドは、高止まりしており、住宅ローン金利を通じて、米国住宅市場の足かせになってきました。今回の一連の措置では、財務省が直接エージェンシーMBSを購入することが盛り込まれています。このことはモーゲージ金利上昇の抑制要因と考えられます。モーゲージローン金利の低下が住宅市場の救済に波及してゆくのか要注目です。

ファニーメイMBS債と米国債スプレッド(利回り格差)

出所:ブルームバーグ

フレディマックMBS債と米国債スプレッド(利回り格差)

出所:ブルームバーグ

MBSはキャッシュフローが前倒しなので(元利均等返済+繰上げ返済)、30年満期のMBSでもデュレーションが5年未満(しかも常に変化)と短くなっています。このため当資料では簡略化し、米国5年債との比較を行っています。

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