金融市場ラインマーカー
為替市場で起きていること
2008年09月08日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
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7月中旬以降のコモディティ価格の反落に伴い、為替市場でも大きな変化が起きています。今回はこの点に焦点を当ててみたいと思います。
7月中旬以降の原油価格反落からインフレ観測が後退したこと、また欧州、新興国等を中心とした景気減速観測の台頭もあり、先行きの各国金融政策に対する市場の見方が大幅に変化しました。この変化が各国通貨の対円パフォーマンスに具現化しています。例えば、4-6月期には景気堅調、インフレ懸念、利上げ観測、資源国に関連した通貨(豪ドル、ノルウェークローネ、ユーロ等)が対円で上昇していました。しかし、7月-9月期は、それらの通貨が反落することになりました。つまり、現状為替市場で起きていることは、いわゆるインフレトレード(高金利通貨、資源国通貨買い/低金利通貨売り)のシナリオの見直し、ポジション解消ともいえるかもしれません。
4-6月期 各国通貨の対円騰落率

7-9月期(※) 各国通貨の対円騰落率

OIS市場(※)で織り込まれている今後1年間の各国政策金利の変化幅

- OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)
市場で織り込まれている今後1年間の各国の政策金利の変化幅を見ると、米国では金利の先高感、日本は横ばい、一方、欧州では0.5%程度、豪州では1%程度の金利引き下げが織り込まれています。この格差が前述の通貨パフォーマンスに現れているようです。
今後1年間で織り込まれている日米政策金利変化幅格差(※)とドル/円

- OIS市場ベースで算出
前述の通り、足元の為替相場のキードライバーの一つは、先行きの金融政策の方向性と言えます。今後1年間で織り込まれている日本と各国の政策金利変化幅の格差と円相場は以下図表のように密接に連動しているようです。市場参加者の間では、先行きの政策金利格差との対比で見ると足元の円高はややオーバーシュート(過剰反応)と見る向きもあるようです。今後、円高が更に進行してゆくかどうかを判断するポイントの一つは、インフレトレードで構築されたポジションの解消が済んだ後でも、依然として高水準の日欧、日豪金利差を反映したコスト高を負担して、投機筋が対円でのユーロ売り、豪ドル売りを継続するかどうかです。
今後1年間で織り込まれている日欧政策金利変化幅格差(※)とユーロ/円

- OIS市場ベースで算出
今後1年間で織り込まれている日豪政策金利変化幅格差(※)と豪ドル/円

- OIS市場ベースで算出
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