金融市場ラインマーカー

米国政策金利2%据え置き決定について

2008年08月07日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

8/5のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、政策金利(FFレート)が2%で据え置かれることが10対1で決定しました。今回は、この点に焦点を当てました。

今回の声明文は前回の声明文と比較して、特段大きな変更点はありませんでした。ただ、唯一、挙げるとすれば、以下図表の赤字部分が削除され、青字部分が新規に追加されたことでしょう。このことに対する市場の受け止め方としては、前回よりも経済成長の下方リスクへの不透明感が強まり、インフレの上方リスクがやや増加したとの評価をする向きが多いようです。結果、金融政策のリスクバランスは中立となり、当面は金融政策は据え置かれるとの見方が示唆されたようです。

前回声明文と今回声明文の主要な変更点

2008/6/25 声明文要旨

経済成長の下方リスクは残存するものの、幾分か解消された模様であり、インフレとインフレ期待の上方リスクは高まった。

2008/8/5 声明文要旨

経済成長の下方リスクは残存するものの、インフレの上方リスクも委員会の重大な懸念である。

前回FOMCと今回FOMC直後の米国債利回り曲線

出所:ブルームバーグ

前回6/25のFOMC声明文では、景気減速リスクが幾分か解消する一方、インフレの上方リスクが高まったとの認識が表明されたため利上げ観測が高まり、国債の各年限別利回り曲線(イールドカーブ)は2年ゾーン以降で見ると平坦化(フラット化:2年金利上昇幅>10年金利上昇幅)、逆に今回の声明文で利上げ観測が後退したので、イールドカーブの傾斜は急(スティープ化:2年金利低下幅>10年金利低下幅)になりました。

原油価格と消費者物価指数

出所:ブルームバーグ

声明文中のインフレに関する段落では、「インフレが今年後半から来年にかけて鈍化すると予想しているが、インフレ見通しは不透明感が高いままである。」と述べています。不透明感を強めているのは、原油価格を中心としたエネルギー価格の上昇と見られます。景気に関する段落の中でも「エネルギー価格の高止まりは今後数四半期の経済成長を圧迫する可能性が高い。」と述べられているように、エネルギー価格に対する警戒感が強いようです。足元、原油価格は、高値から反落していますが、需給の逼迫状態に著変なく、高止まりを続けるとの見方も根強いようです。

政策金利と新規失業保険申請件数(4週平均)

出所:ブルームバーグ

声明文の景気に関する段落では「労働市場は一段と軟化しており、金融市場はかなり圧迫されたままに留まっている。」と述べています。今回の声明文を受けても、市場は年末までの利上げ実施を約6割織り込んでいるようです。ただし、過去を見ると、米国の利上げは、雇用環境が良い局面で行われています(図表の四画囲い部分)。一方、足元は雇用環境が悪化しており、実際に利上げに踏み切れるかどうか疑問視する向きもあります。

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