金融市場ラインマーカー

原油価格の高騰について

2008年07月03日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

2011年6月以降のレポートはこちらから

金融市場動向

原油価格が史上最高値を更新し高騰しています。この影響もあり各国でインフレが急上昇しています。今回は原油価格の高騰に焦点を当てました。

(グラフ1)世界の原油供給余力と原油価格

出所:WTI、BP

原油価格高騰の背景の一つに原油の供給余力が最低水準に落ちていることが挙げられます。これに加えて、市場規模を超えた大量の投機的マネーが急速に流入し、価格を吊り上げていることも挙げられます。ちなみに、米国の原油先物市場(WTI)の市場規模は約10~15兆円であり、世界の株式市場7200兆円、債券市場5500兆円と比較しても、その小ささがわかります(2008年1月時点)。

コモディティ価格は世界の需要が高まる局面、言い換えると世界の景気が堅調な局面で上昇する傾向があります。IMFの予想では、世界の景気は今後、減速を経て横ばいとなる模様です。世界景気とコモディティ価格の過去の連動性の高さを考えた場合、今後もコモディティの価格が断続的に上昇してゆくのかどうか疑問が生まれます(グラフ2参照)。また、エマージング諸国の旺盛な需要がコモディ価格の上昇要因と考える向きもあります。ただ、IMFのエマージング諸国の景気予想も横ばい推移となっています(グラフ3参照)。コモディティの需要はエマージング諸国を中心に構造的・長期的には逼迫していますが、景気の状況によって需給は変わります。であれば、景気循環の波を反映した価格の自動調整メカニズムが働くことも予想されます。

(グラフ2)世界のGDPとコモディティ価格

出所:ゴールドマンサックス IMF

(グラフ3)地域別GDPと原油価格

出所:ブルームバーグ、IMF

(グラフ4)世界の原油消費量 国別地域別シェア

出所:BP

原油価格の先行きを見る上で重要な指標の一つは原油の国別・地域別の消費量が挙げられます。世界での原油消費No.1シェアは米国、次いで中国となっています。

(グラフ5)米国実質GDPと原油価格対前年比

出所:ブルームバーグ

原油価格は原油消費量世界No.1の米国の景気動向に連動し推移してきました。今後、米国の景気が減速するとのマーケットコンセンサスが具現化した場合、需要減も予想されます。その場合、原油価格だけが一人歩きし、高騰してゆく可能性は低いと考えます。

(グラフ6)中国実質GDPと原油価格対前年比

出所:ブルームバーグ

原油価格は原油消費量世界No.2の中国の景気動向に影響を受けます。IMFの予想では、2008年から2009年にかけては、2007年の11%台成長から9%台成長に鈍化し、その後は、2013年にかけて10%台での横ばい推移となっています。この予想からも原油価格の一本調子の上昇は想定しにくくなります。

金融市場ラインマーカー一覧へ

「金融市場ラインマーカー」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。