金融市場ラインマーカー

インフレと経常収支と金融政策の関係

2008年05月20日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

サブプライム問題を受けた金融危機への対応として米・英金融当局は昨年夏場以降、断続的に金融緩和を実施してきました。しかし、足元のインフレ懸念を理由の一つとして、4月末に米国が「利下げの休止」ともとれる声明を発表し、英国は5月初旬に政策金利の据え置きを発表しました。両国の金融政策姿勢の変化を受け、インフレ圧力を織り込むかのように世界的に金利が上昇し始めました。今回は主にインフレと金融政策の関係に焦点を当ててみようと思います。

主要国の総合インフレ率(米国は、個人消費支出価格指数)が、各中央銀行の目標インフレ率(注)に完全に収まっているのは、カナダだけです(図1)。言い換えると、この状態は世界的なインフレ警戒局面であり、通常であれば、金融当局がインフレ抑制のためにとる次のアクションは利上げということになります。この観測が足元強まっており、世界的に金利が上昇する一つの要因になっています(図2)。

(1)主要国中央銀行のインフレ目標

  中央銀行の インフレ目標 インフレ率
米国 2~3%(注) 3.2%(注)
ノルウェー 2.5% 3.10%
ユーロ圏 2%以下 3.30%
NZランド 1~3% 3.40%
スウェーデン 2%±1 3.20%
豪州 2~3% 4.20%
英国 2%±1 3.00%
スイス 2%以下 2.30%
カナダ 1~3% 1.40%
  • 米国にはインフレ目標採用していません。ただし、金融当局者の過去の発言では、個人消費支出価格指数で、2~3%程度のインフレ率が物価の安定水準と考えている模様です。

(2)世界国債指数利回り

出所:メリルリンチ、Global Sovereign Broad Market Plus Index

(3)主要国の消費者物価と政策金利の関係

出所:ブルームバーグ、IMF2007年消費者物価対前年比年平均値を使用

通常、縦軸の消費者物価が高い国はそれに比例し、政策金利が高い傾向にあります。足元、米国はインフレ高進にも関わらず、政策金利の水準が低いことがわかります(図3)。FRB理事(米連邦準備制度理事)は相次いで、現状のインフレ高進の中で、金融緩和の行き過ぎに懸念を表明しています。

(4)経常収支の対GDP比と実質政策金利

出所:ブルームバーグ、実質政策金利はIMF2007年消費者物価年平均を使用して算出

縦軸の経常収支の対GDP比が赤字(マイナス域)である国は、その赤字を海外からの証券投資等で補うために、金利を海外投資家から見て魅力的な水準(高金利)に設定する傾向があります。具体例では、ニュージーランド、豪州、英国が挙げられます(図4)。

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