第5章 ちょっとの工夫で「自己流バランスファンド」

資産分散といえば代表的なのものにバランスファンドの利用が考えられます。ただし、バランスファンドを購入するだけでは不十分な場合もあるでしょう。例えば、資産選定が合わなかったり、投資対象とするファンドが冴えなかったり、資産配分の機動的変更ができなかったり。理想に適うバランスファンドはなかなか見つからないものです。

本来であれば、「効率的な資産配分(最もリターンを最大化できる資産配分)」に「パフォーマンスが良好なファンド」を組み合わせることが理想のポートフォリオといえます。 例えば、リスク水準を5%、各資産の配分比率を10%以上として設定した場合の「効率的な資産配分」は、国内株式(10%)、国内債券(66%)、先進国株式(14%)、先進国債券(10%))です。このポートフォリオを主要インデックスで構成した場合と、各資産をそれぞれ運用成績が良好なアクティブファンドに入れ替えた場合とを比較してみましょう。配分比率の高い国内債券のリスクが0.2%弱高まったものの、基本的に後者はリターン上昇・リスク低減となり、パフォーマンスは大きく改善していることがわかります。

(図4-6)
効率的な資産配分で最良の投資信託を組み合わせると 《 提供:モーニングスター(株) 》

※1 2012年6月末までの過去3年間の各資産の月次リターンを用いて計算

※2 「効率的な資産配分」は、各資産への配分比率が10%以上、リスク5%の条件のもとでリターン最大化となる資産配分。使用データは、国内株式:TOPIX(配当込み)、国内債券:NOMURA-BPI総合指数、外国株式:MSCI コクサイ指数(配当込み、円ベース)、外国債券:シティ世界国債インデックス(除く日本、円ベース)。

※3 各資産の良好なファンドは、モーニングスターカテゴリー内のすべてのファンドを対象にモーニングスターが抽出。2012年6月末までの過去3年間のトータルリターン(分配金は再投資したものとして算出)が最も良好なファンド、またはシャープレシオが最も良好なファンドのどちらか一方を用いて計算。組入比率は「効率的な資産配分」の各資産への配分比率と同率とする。

このように既存のポートフォリオに少しの工夫を加えるだけでも、パフォーマンスが改善するきっかけとなります。自己流のバランスファンドに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、既存のバランスファンドに気になる投資信託を加えてみるだけでもご自身の望んだパフォーマンスに近づく可能性は高まるでしょう。ぜひ、自分に合った資産構成・ファンド選びを実践してみましょう。

とはいえ、資産運用にあたっては、「複数の投資信託を組み合わせるのは面倒」という方もいらっしゃるかと思います。その場合は迷わず気になる投資信託を購入してみるのもよいでしょう。ただし、いくら投資に使える余剰資金とはいっても、全額を投資に充ててはいけません。投資可能額は各投資信託のリスク水準によっても増減しますが、余剰資金100万円のうちマイナス50万円までしか許容できないのであれば、投資可能額は50万円と考えるのがよいでしょう。投資信託によっては、短期間で大きなマイナスになる可能性もありますので、投資信託を購入する前にどの程度下落する可能性があるかは確認しておく必要があります(図4-7)。

(図4-7)
主要資産の最大下落率 《 提供:モーニングスター(株) 》

(図4-7)主要資産の最大下落率

※1 各資産の数値は、以下のモーニングスターカテゴリーに属するファンドの最大下落率(過去3カ月間)の平均値を利用。
国内株式:国内大型ブレンド、
先進国株式:国際株式・グローバル・除く日本(F)、
新興国株式:国際株式・エマージング・複数国(F)、
国内債券:国内債券・中長期債、
先進国債券:国際債券・グローバル・除く日本(F)、
新興国債券:国際債券・エマージング・複数国(F)

※3 DC、SMA、ETFを除く

資産運用の知恵袋
  • 金融危機とこれからの資産運用
  • 金融危機と欧州不安
  • 金融危機後の個人投資家の動向
  • 金融危機後の人気ファンドとパフォーマンス
  • 分散投資の有効性
  • 世界同時株安でも分散投資効果は生きている
  • 外国債券は「債券要因」と「為替要因」に分解して考える
  • リーマンショック前の円安は異常値を示していた?
  • 資産の分散+時間の分散で効果的な運用に
  • ちょっとの工夫で「自己流バランスファンド」
  • これからの資産運用の考え方
  • 老後資金はいくら必要?
  • 年代別資産運用セミナー
  • 知っ得情報
- +