第1章 金融危機はどうして起こったか?

2007年のサブプライムローン(信用力の低い個人住宅向け融資)問題に端を発した米国の住宅バブル崩壊は、2008年になって多くの資産価格の下落を招きました。9月15日には、米大手証券のリーマン・ブラザーズが経営破たんし、翌16日には、世界最大の保険会社である米アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が経営危機に陥ったため、FRB(米連邦準備制度理事会)が緊急融資を行い、政府の管理下で経営再建を行うことになりました。両社の最終的な処理は異なっているものの、サブプライムローンの損失拡大が株価の下落を招き、さらには信用不安に繋がったことで、最終的には資金調達が困難になったという面では共通しています。

こうした連鎖的な危機に陥った背景の一つとして、金融機関が証券化商品やデリバティブ(金融派生商品)などを通じて、大きなリスクを取りすぎたことが挙げられます。欧米の金融機関は、より高い収益を求めて、株式や債券などの伝統的な資産から、金融工学を駆使したデリバティブなどへと傾斜を強めていきました。また、さらに高い収益を上げるために、自己資本の何倍もの借金をして、これらに投資をするようになりました。

しかし、どれほど高度な金融工学を駆使しても、リスクを完全になくすことはできません。また、市場では常に妥当な価格が形成されるわけではなく、予想外の価格をつけることもあります。ある意味では、こうしたことを全てコントロールできるのではないか、との金融機関の慢心が招いた危機ともいえるでしょう。2012年6月にも、リスク管理に定評があった米国の大手金融機関が、デリバティブで数千億円という巨額の評価損を計上しており、世界的に金融機関に対する規制強化を求める動きが強まっています。

資産運用の知恵袋
  • 金融危機とこれからの資産運用
  • 金融危機と欧州不安
  • 金融危機はどうして起こったか?
  • 欧州不安で世界はどうなる?
  • 金融危機後の個人投資家の動向
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